友人の結婚式|文・梅村遼太郎

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友人の結婚式に参列した。その友人をMとする。たぶん友達の中で一番金の持っていない私に招待状を送るとは、よっぽど参列してほしいのだろう。私は漫才衣装と白ネクタイを持って、地元に帰った。

Mは中学の時からの付き合いだが、昔から大人だった。どこからか引越してきて、やっぱりもう物珍しさで声を掛けたのだろう。全く覚えていない。今も仲良くしてくれる人との初対面は覚えていない質(たち)で、嫌いな奴の印象はいつまで経っても忘れない。こんな性格になってしまった自己形成の一部にその友人Mも入っているのだろう。責任をとれ。

Mは思春期の私には冷めたように見えた。大人っぽいと言えばカッコよろしいが、熱い熱い私の論はいつも刺さっておらず、はいはいと流されるようであった。あの時は寂しいなと感じていたが、今となってはああやって軽めの否定をされないと、私の鼻はどんどん伸びたことだろう。それはちょっとダサいよ、と言われていた印象がある。そんなこと実際には言われたことはないが、私の行動、言動が恥ずかしくないような教育をしてくれた。

そして中学卒業しても、たまに会ってはお茶をし、昔話に花を咲かせた。嘘つきました。咲かせていません。一回もしたことがございません。Mとは一回も昔話をしたことがありません。結婚式でテーブルを回ってインタビューがあり、私が指名され、

インタビュアー「いつのお友達なんでしょう」

私「中学からの、、、」

インタビュアー「Mさんとの思い出ありますか」

私「え、昔話するんですか。今の話しましょうよ」(※もう少し柔らかく言っておりました)

と結婚式場専属司会者に対し、突っかかるような対応をしてしまったが、あの昔話をする時間がものすごく好きではないため、ぶった切って、その時だけドアマン梅村として参列した。その司会はイライラしていただろう。時間も押しているし、こいつにそんな時間かけてられないんだよ、と。こっちだって、てめえの司会がラジオ深夜便みたいで眠たくなっちまうんだ馬鹿野郎、下手くそ、と言ってしまいたい気持ちをグッとこらえて、オチまでいった。

たぶんMもわかっていると思う。「昔」なんて楽しいに決まってんだ。人は「昔」を脚色をしようとする。なぜかというと「現在」から逃げたいからだ。高校にあがると中学の時はよかった、大学になると高校はよかった、社会人になれば、大学時代はよかった。全部よいのだ。「現在」の辛いことを消すために人は「昔」を持ち出してくるが、その麻酔は醒めるのが早い。「現在」しか生きていないのだから、そのノンフィクションと戦えない人たちが、盆か正月に集まっては地元の美味いか不味いかわからない一人4000円くらいの居酒屋で花を咲かせちゃうのだろう。そんな花には除草剤撒け。

前もどこかの文章に書いたが、私は友達に対し、「中学の時の」や「高校時代の」という言葉を付けるのが嫌いだ。だってなんか今友達じゃないみたい。だから司会者に喧嘩腰で言ってしまったのだろうか。申し訳ありません。しかしあなたはなんか仕事こなしている感があって、嫌いでした。

大親友が結婚したわけだが、本当に尊敬する友人の一人だ。自分の仕事に責任を持ち、誇りを持っていてかっこいい。かと思いきや、弱く、脆く、危うい。強くない。これがMには最適な言葉だ。自分が弱いことを知っているが、それと戦っている。常に戦っている姿を見て、負けてられないなと感じるし、なにせがっかりされたくない数少ない友人の一人なので、私もちゃんと戦おうと思う。

そしてパートナーの方もかっこいい。エネルギーがある。ちゃんと大人で粋で洒落ていた。この夫婦はお互いを尊重し合って生活していくんだろうなと思うと、なぜか新郎新婦のスピーチで大号泣してしまった。同級生たち失笑する。後でMから「私の分まで泣いてくれてありがとう(にっこりマーク)」と連絡がきたが、私は「てめえ私が泣くタイミングで声上げて泣いてんじゃねえよ、主役をたてろ」と解釈した。本当に申し訳ありません。涙が止まりませんでした。泣かせることが簡単なのは私だけでした。

良い言葉があった。「何度生まれ変わってもみんなとまた出逢いたい」この言葉はすごく良い。「みんな」がいてくれて本当にありがとう、という気持ちと、「みんな」と出逢うことで生まれ変わっても「私」が創り上げられる。その「みんな」と出逢えた「今の私」になにも後悔がない、この「今」が一番好きという表現をしている素敵な言葉だ。

Mじゃなかった。Kに変わった大親友に送る、手紙の返事だ。

この記事を書いた人

梅村遼太郎

1999年生まれ。2023年、高校の同級生である位とドアマンを結成。ネタだけ書いていると常識を忘れそうになるため、エッセイを書いている。

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